「私のママン」(3)

記憶を遡ってそこから更に数年前、草原と砂漠の国からやってきた怪力無双の横綱がまだ健在だった頃、ママンはもう少し楽しく相撲を観ていたような印象が私にはある。ママンはたぶんあの横綱のファンだったのだ……私もそうだった。遠いむかし、実際、テレビな…

「私のママン」(2)

それはごく短い時期に過ぎなかったんだけど、まだ私がただの子どもだったとき、少なくともそんなふうにしか意識していなかったとき重要だったのは、自分が本当に両親に望まれて生まれてきた子どもだったかどうかだったんだけど、表層的なことをいえば16年前…

「私のママン」(1)

私のママンは少しばかり神経質なところがあって、高校生になった娘(私のこと)に携帯電話を持たせこそすれ(でも強力なフィルタリングつき)、いまだにインターネットに接続させてくれない。情報というのはとても危険なものなのだ、というのがママンの言い…

3月1日(月)

三日前から続いていた喉の痛みが一際、存在感を放つ。ごろごろと唸るようにしてのみ発声が可能な状態。からだもずいぶんとだるく、できることなら休みたかったが、そういうわけにもいかず、膝を震わせながら電車に乗る。気温の変化に弱いのだろう。ほかの乗…

こころがつかれているときはそれだけたくさんよく眠れる。土曜日と日曜日で計30時間以上も睡眠をとり、心身のざわめきもすっかりと晴れ、僕はホップステップジャンプの状態でいえばいまはジャンプだ。だって、こんなに日記が書きたくない。心底、馬鹿馬鹿し…

日記以外の文章を書くことができないのは、日記以外のことを書くのが恥ずかしいからなのだろう、僕は特に自分の日々の生活を特に恥じてはいるわけではないが、それ以外の細々としたこと、たとえば僕は身長は高いほうではないのだけれど、その身長に比しても…

いま僕は17歳で、人生で最も美しい時期だといってかまわない。菩薩のようにしとやかに美しく、しなやかに緊張した精神は円熟の極みに到達し、ホンマグロだって仕留められそう。気分よりも確かな、感情と呼ぶにはあまりにも方向性に欠けたこの内的状態は、だ…