ライトノベル

「私のママン」(3)

記憶を遡ってそこから更に数年前、草原と砂漠の国からやってきた怪力無双の横綱がまだ健在だった頃、ママンはもう少し楽しく相撲を観ていたような印象が私にはある。ママンはたぶんあの横綱のファンだったのだ……私もそうだった。遠いむかし、実際、テレビな…

「私のママン」(2)

それはごく短い時期に過ぎなかったんだけど、まだ私がただの子どもだったとき、少なくともそんなふうにしか意識していなかったとき重要だったのは、自分が本当に両親に望まれて生まれてきた子どもだったかどうかだったんだけど、表層的なことをいえば16年前…

「私のママン」(1)

私のママンは少しばかり神経質なところがあって、高校生になった娘(私のこと)に携帯電話を持たせこそすれ(でも強力なフィルタリングつき)、いまだにインターネットに接続させてくれない。情報というのはとても危険なものなのだ、というのがママンの言い…